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の記事
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2012年05月27日00/ 時38分
の記事
心に迫る"贈り物"
<5月24日の出来事>
私の仕事はうまくいくと
かかわった方とはお別れをしないとなりません。
そして、二度と会う日が訪れないことが
その方の幸せなのです。
ですから、最後にお別れする時には
「もう二度とお会いしないですむことを祈っております」
「もういらっしゃってはなりませんよ」と話すこともあります。
特に長くおつきあいをしてきた方に、そのように話します。
時にそんなことが続けざまに起こる日もあります。
今日はそんな1日でした。
「もう大丈夫ですね」
「この後は万一なにかがあったら来て頂きますが、いらっしゃることはないと信じています」と切り出しました。
50歳代のその男性は、ややはにかんで、
「そうですね」
「本当に長い間、お世話になりました」と深々と一礼されました。
「今日で終わりになりましたね」とまたもやお伝えしました。
30歳代のその女性の顔からは満面の笑みが!
その女性は立ちあがり去り際に
「あなたも無理をなさらず、身体には気を付けてくださいね」と
逆にお気遣いの言葉を頂きました。
手紙などではよく使われる決まり文句ですが、私の仕事では意外と口で直接に頂くことの少ない言葉です。
思わずハッとして、その方をじっとみつめ、
「ありがとうございます」と申し上げました。
その女性は軽やかな足取りで退室されました。
「これでお別れです」とお伝えすると
70歳を越えたその女性はおもむろになんだか関係なさそうなお話を始めました。
お話を切るタイミングを逸して聞き入っていたら、最後にかばんからとり出され、渡そうとなさったのは手彫りのブローチでした。
どうやらこれをどのように出すか模索して、関係ない話に突入していたようです。
出すには勇気がいったのでしょう。
しかし、さる方に頂いたとても大事な品だとわかり、丁重に受け取るのは遠慮したいと伝えしましたが、
「もう私にはこれをつける機会はありません。私の形見と思って受け取ってください」と
そのストレートな言葉に胸が詰まり、お断りすることができなくなりました。
その女性はその後、安堵したような様子でお帰りになりました。
これまで何度も
「では、また1カ月後にお会いましょう」と繰り返し言い続けた方たちばかりです。
大変な重荷だったと思いますが、いつも今日のこの私の言葉をずっと待っておられたのではないかと思うと、胸が熱くなりました。
私にとって
これらのお別れはちっともさみしいことではありません。
むしろ嬉しいことです。
.
今日もまた
そんな喜びに満ちた瞬間に出会え、感謝の気持ちで一杯です。
さらに頂いた心に迫る“贈り物”の数々は
そっと胸にしまっておきたいと思います。
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