”達成感 高校3年生の「じゃじゃ馬馴らし」”をもう一度
< 3部>
劇が終わって、皆に引っ張られるようにして壇上にあげられ、集合写真を撮った。(今見てもその写真は本当にいい顔をしている。)
発表の時はただそこに居るだけの状態だった。半ば放心状態だったのだと思う。3位、2位の発表が終わり、題名をcallされなかった時に「本当に終わったな」とだけ感じた。と、次の瞬間、なにが起こったのかわからなかった。ものすごい歓声と私の横1列に並ぶ人達が高く空中に飛び出し、私は1人椅子に残され、我に戻った次の瞬間、一筋のあたたかい涙が私の頬をつたっていた。
「優勝はじゃじゃ馬馴し!!」とcallされていた。
それはどうしても意見がまとまらず流した悔し涙の時には、想像もつかなかった結末だった。
(あとでわかったことだが、劇の終わった直後にすでに男子たちは優勝を確信したようだった。)
<4部>
私は大道具置き場にいた。午後の部が始まる前だったと思う。2度と使うことのない大道具を不思議なくらい淡々と見ていた。「ふっ」と笑ってその場を出たときだった。1人の男子が現れ、私に向かって手を差し出した。最初何のことか分からなかった。彼から「ありがとう。」と言われて、握手を求められているのだと気づいた。「○○さんがこんなにやってくれるとは思わんかったよ。本当にありがとう。」と。私はぎこちなく手を差し出した。と同時に彼の手が強く私の手を握った。
私はいったい何をしたのだろうか。結局、無関心にしていたのは私だったのかもしれない。高校に入って協力して何かをやる。そんなそぶりを見せたことはなかった。中学までは学級委員や副会長と人のことで走り回っていた私は、高校では無関心を装っていた。実はいやではないのに学級委員も断った。受験ばかりに向かっている人間という評価を受けていたのは自分だったのだ。